この花の名前を知ったのは、図案になってからでした。
1987年文化出版局から刊行された「続花刺繍3 秋冬の花」に掲載された「庭の秋」の中に、コスモスと鶏頭とこの花が入っていて、そういえば、毎年、庭の一部に紫色の小さな花が咲いていたと気が付きました。
1年草ですが、毎年こぼれ種で咲いていくし、暑さにも非常に強い花です。
ですから、特段、植えたり手入れをした記憶がなくても咲き続けてくれました。
花付きの良い年は、こんもりとした緑の中の紫が、小さいけれど私達も頑張って咲いていますよとアピールしているようでした。
珍しい花形をしていて、紅色や黄色もありますが、濃い紫と淡い紫、紫に白の組み合わせのものが最もポピュラーと思います。
葉っぱは先のとがった卵型、丸っこくて愛らしいです。
この作品に添えられた文章は、 「けいとうが急に目立ち始め、あちこちにトレニアが丸っこい紫花を開く。コスモスは茎が不恰好に育って、少しかさ高い感じ。
庭のこの組み合わせを見ると、とうとう秋が来たと思ったものだった。毎年勝手に位置取りが変わって面白かったたくましい一年草たち。最近東京では、ひとり生えの草花の多いこんな庭が、だんだん少なくなってしまっている。」
2年後に描かれたこちらの作品は、まさしく思い出の庭そのもの。
秋になると飾りたくなります。
でも本当は、こんなにお行儀良く並んでいなかったかも?
花の色が似ていることからナツスミレという別名を持ち、和名は「花瓜草(ハナウリグサ)」といいます。
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