花綴り

ネムノキ

夏の夕方、美しく咲くネムノキ。花の部分と思しきピンクと白の糸状のものは雄しべで細く長くふさふさした感じが素敵ですね。成長すると10mくらいの高さになるので、庭植えにはむいていないと思われます。花が開くと葉っぱが閉じ始めて、花がしぼむと葉が起きて開きます。

子供の頃、山へドライブに連れて行ってもらうと、夏の濃いグリーンの木々の中に、ぼわ~っと薄紅色の花が浮かぶように咲いているのが気になって、母から「あれはネムノキよ」と教えられました。
車でパァ~っと通り過ぎてしまうので良く見られないことをとても残念に思っていました。
そして、自生しているのをしっかり見る機会があったのは成人してからだったような気がします。森林の中に咲いていると妖精が羽を開いているようで印象的です。

名前の由来は、夜になると羽状の葉っぱが閉じて合わさっている状態が、まるで寝ているようなので「眠りの木(ネムリノキ)」が変化して「ネムノキ」。
漢字では「合歓木」と書きます。葉が閉じると寄り添った二人のように見えることから「合歓」、共に寄り添う幸せという素敵なネーミングです。
英語では花の方に重点が置かれて「シルク・フラワー」と呼ばれています。

B-770 『合歓木』

シンガポールに住んでいた時、大きなネムノキがあって、4階の窓から花を眺めていると涼しげな感じがしました。この作品は、それを思い出させてくれます。
花(雄しべ)は針足の長い1本どりのアウトラインステッチとストレートステッチで繊細に仕上げて下さい。

マメ科の落葉高木。花が終わると、大きな鞘がぶら下がり、マメ科と納得できます。

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