オリジナル図案で植木刺繍と名付け、「花の刺繍画」という分野を創設した植木良枝の最初の花の刺繍画集「花暦」(1974年刊行)
花暦と書くと「はなごよみ」と読むのが自然だと思いますが、この本は「花暦~KAREKI(かれき)」と読むところに、良枝のこだわりがあったようです。
掲載作品に「藤」の花があり、日本的でしっとりしています。
今から咲く蕾や満開のお花だけでなく、
もう盛りを過ぎて黄色くかさついているものまで忠実に刺しています。
葉の刺し分けも、同じ色であっても違う色を混ぜたような効果があって
紫の小花たちと繊細な葉っぱのグリーンが落ち着いた印象。
絹地で、しぼが所々に出ているところ、縦長の感じが掛け軸を連想させることなど、
題材と相まって日本的なイメージに繋がっています。
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